香川・高松の逆襲!新駅と極上讃岐うどん、知られざる穴場の全貌
香川 高松の港に降り立つと、まず突き抜けるような潮の香りと、どこからともなく漂ういりこ出汁の芳醇な匂いが重なり合って鼻腔を突く。四国の玄関口として栄えてきたこの街が今、かつてない熱量で沸き立っている。瀬戸内海の多島美に囲まれた穏やかな街並みに、現代アートの鼓動と最先端の都市機能が鮮やかに融合。昔ながらの製麺所に早朝から行列を作る地元民の笑顔と、キャリーケースを引く世界中の旅人が自然にすれ違う。日常と非日常がこれほど心地よく交錯する場所は、日本全国を見渡してもそう多くない。
変貌を遂げるウォーターフロントから一歩路地裏へ足を踏み入れれば、そこには何十年も変わらない人情と頑固なまでの職人技が息づいている。新旧の魅力が加速度的にスパークする香川 高松の現在地は、従来の観光パンフレットのイメージを軽快に裏切ってくれる。今回は現地に足を運び、路地裏の名店から巨大再開発の現場まで徹底的に歩き倒した。そこで見えてきたのは、単なるブームにとどまらない、地方都市の新しい生存戦略と熱狂の正体だ。
現地取材で判明した最新再開発エリアと極上讃岐うどんの穴場ルート

サンポート高松周辺の景観が一変している。新アリーナの開業や駅前商業エリアの拡張に伴い、海沿いのスカイラインは劇的な進化を遂げた。巨大なガラスファサードが瀬戸内の青空を映し出し、週末には家族連れや若者たちで溢れかえる。しかし、どれほど近代的なビルが立ち並ぼうとも、この街の根底にあるソウルフードへの情熱が揺らぐことはない。
今回の現地取材で発掘したのは、再開発エリアのすぐ裏手に潜む、ガイドブック未掲載の小さな製麺所だ。朝6時の開店と同時に常連客が吸い込まれていく。打ち立て、茹でたての麺に、伊吹島産の上質ないりこで引いた黄金色の出汁をひと回し。口に含んだ瞬間の圧倒的なコシと小麦の甘み、雑味のない澄んだ旨味に思わず息をのむ。進化する都市の風景と、変わらぬ手仕事の極上讃岐うどん。この強烈なコントラストこそが、旅人の五感を揺さぶる最大のフックとなっている。
名優・要潤が語る「うどん県」の進化と地域創生・トラベルガイドの未来

「うどん県副知事」として全国に旋風を巻き起こした俳優・要潤氏の存在を抜きにして、近年の香川のブランディングは語れない。当初はユーモラスなPR戦略として注目されたが、今やその根底にある郷土愛と確固たるビジョンは、全国各地の自治体が手本にする地域創生・トラベルガイドの成功モデルへと昇華した。
単一の特産品をフックにして観光客を呼び込み、そこから歴史、アート、自然といった多面的な魅力へと誘導していく巧みな導線づくり。行政と民間が一体となって仕掛けるユニークなプロモーションは、いまや第2ステージへと突入している。食を目的に訪れた旅人が、いつの間にかこの土地の風土そのものに魅了され、リピーターや移住者へと変わっていく。要潤氏が発信し続けてきたメッセージは、地域経済を循環させる強靭なエコシステムへと着実に実を結んでいる。
空海の足跡から特別名勝 栗林公園、高松城まで繋ぐ歴史的景観の革新

この地に根づく文化の深さは、1200年以上前にこの地で生を受けた弘法大師 空海の時代にまで遡る。空海がもたらした先進的な土木技術や思想は、今も讃岐平野の至る所に残るため池や寺院に息づいている。そして、その歴史的な厚みを視覚的に体験できるのが、高松が世界に誇る名所の数々だ。
国の特別名勝 栗林公園に足を運ぶと、大名庭園の粋を集めた池泉回遊式の景観が広がる。一歩歩くごとに景色が変わる「一歩一景」の美しさは、朝の澄んだ光の中で格別の輝きを放つ。さらに市街地中心部に位置する高松城(玉藻公園)では、日本三大水城の一つとして瀬戸内海の海水を引き込んだ珍しい堀と、復元が進む壮麗な門や櫓が出迎えてくれる。古い石垣に腰掛け、歴史の風を感じる贅沢な時間。高松は、悠久の歴史と現代の暮らしが寸分の隙もなく調和した稀有な都市なのだ。
瀬戸内国際芸術祭とJR四国の新戦略が拓く観光・インバウンド産業の新局面
島々を舞台に世界的な現代アートが集結する瀬戸内国際芸術祭は、高松の国際的プレゼンスを決定的なものにした。直島や豊島、小豆島への海の玄関口である高松港には、欧米やアジアから訪れるアートファンが途切れることなく行き交う。この波に呼応するように、四国旅客鉄道株式会社(JR四国)も観光列車や周遊パスの利便性を大幅にアップデートさせ、四国全体の交通ハブとしての機能を研ぎ澄ませてきた。
これら民間の動きを後押しするのが、高松市役所および公益社団法人 香川県観光協会の戦略的な取り組みだ。単なる通過点ではなく、滞在型観光の拠点として選ばれるためのインフラ整備、多言語対応、ナイトタイムエコノミーの創出を急ピッチで推進。持続可能な観光・インバウンド産業のモデルケースとして、国内外から熱い視線が注がれている。
映画『UDON』や『セカチュー』からNetflixへ――映像カルチャーが育む聖地巡礼
高松とその周辺は、記憶に残る名作映像の舞台としても特別な存在感を放ち続けている。讃岐うどんブームを全国的な社会現象に押し上げた本広克行監督の映画『UDON』、そして庵治町を舞台に社会現象を巻き起こした映画『世界の中心で、愛をさけぶ』。フィルムに焼き付けられた美しい瀬戸内の光とノスタルジックな港町の風情は、今なお色褪せることなくファンの心を惹きつけて離さない。
近年では、Netflixをはじめとするグローバルな動画配信プラットフォームのオリジナル作品や海外ドラマのロケーションとしても注目が集まっている。映像クリエイターたちを惹きつけるのは、どこを切り取っても絵になる海と山の距離感、そして独特の柔らかい自然光だ。スクリーン越しに見た憧れの風景を自らの足で確かめる「聖地巡礼」の旅は、新たな世代のトラベラーをこの街へと引き寄せる強力な原動力となっている。
港町が描く次世代の青写真:暮らすように旅するローカル滞在のすすめ
観光地を慌ただしく巡るだけの旅は、もう終わりを告げようとしている。いま高松で最も贅沢な過ごし方は、レンタサイクルを借りて路地を気ままに流し、気になったコーヒースタンドや古い喫茶店にふらりと立ち寄ることだ。港町特有のオープンで温かい気質を持つ地元の人々との何気ない会話の中にこそ、旅の本当の醍醐味が隠されている。
夕暮れ時、瀬戸内海が茜色から深い藍色へとグラデーションを変えていく瞬間、港のデッキに腰を下ろして波の音に耳を傾ける。歴史ある名所、最先端のアート、そして胃袋を満たす唯一無二の麺文化。都市機能の快適さと豊かな自然の恵みが心地よく調和するこの街は、訪れるすべての旅人に「また帰ってきたい」と思わせる確かな引力を秘めている。 (出典: 香川 高松(Yahoo!ニュース))